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真剣に雲丹と向き合ってみた

 

◆気が狂ったので今回はマジで雲丹だけで1本書こうと思う。雲丹の話がしたい、そういう9月もある。

 

◆雲丹、好きですか? 私は好きです。

    海老や蟹といった甲殻類、いくらや明太子のような魚卵の類が一切食べられないのに、雲丹が好きなの不思議なんだよな。舌バカと言われがち。

    漁港の近くにあるちょっとお高めの寿司屋に行くと必ず雲丹を頼む。軍艦の上にバターナイフで削ぎ取りましたみたいな載せられ方される寿司ネタって雲丹くらいじゃない? 食感もまた海鮮物の中で異色のとろけ具合。あまりシーフードって概念を感じられないんだよな。

 

◆しかし雲丹、何度食べてもよくわからない。大トロというよりむしろ霧のような溶け方をするし、甘みや塩みを感じる前に実体がいなくなってしまって、しかし舌の上には確かに「美味い」という記憶だけが残る。

   恐らく雲丹はものすごい照れ屋さんなんだと思う。剥き出しの身を見せ続けるのが恥ずかしくてすぐに隠れてしまうんだけど、実はその一瞬の間に猛烈な「美味しさの」アピールをしていて、しかし鈍感主人公である私は(私の舌は)それに全く気づかない。彼女が去った後、残り香みたいなものを見つけたときにようやくその「美味さ」に気づく、みたいな。何言ってるかわかる? 私は分からない(彼女って何?)。

 

◆雲丹の美味さには実態がない。いや、雲丹の美味さを感じ取るには味蕾が鈍すぎるのかもしれない。とにかく、他の食品と違って「美味い」という結果だけを残していく。

    普通物を食べているときは、たとえば「King Gnuの歌い出しみたいに繊細な甘み」が「美味い」と言えるんだけど、雲丹にはそうした過程がない。海苔や酢飯の味はするのに、雲丹は「在る」という情報だけが渡される。そして最後には「在る」の情報すら薄れていく。しかし全てが嚥下されたとき、海苔や酢飯のそれとは違う確かな「美味さ」が残っている。どこから来た???

    やっぱり私の舌がバカなのかな。雲丹の味がわからない。美味いということだけがわかる。過程をすっ飛ばして結果だけを伝えられる。二次元の刃(イビルメタル)と同じ。

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◆意外と雲丹を食わず嫌いしている人、多いんじゃないだろうか。特にシーフードが苦手という人。見た目も異質だし、生身の魚とも貝とも言い難い気味悪さは、確かにわかる。

   でもそういう人にこそぜひ食べてほしい。第一印象がマイナススタートの人のほうが、雲丹の「美味さ」をしっかり掴めると思う。そしてそのさらに奥、雲丹の持つ真価をぜひ言語化して私に教えてほしい。雲丹の全てを知りたい。頼む、みんな雲丹を食べてくれ。