◆年の暮れが近づいてきました。皆さんいかがお過ごしですか。私は修士研究でひぃひぃ言っています。
2020年もたくさんの漫画が発売されました、なかでも代表といえば、やはり時代の寵児となった『鬼滅の刃 / 吾峠呼世晴』でしょう。
最終巻が来月発売なので私はまだ完結を読めていないんですよね。ネタバレは防いだのでどんな終わりを迎えるのかとても楽しみにしています。
というわけで2020 comics始まります(2018, 2019はこちら)。対象は今年私が読んだ漫画です。冬の夜長の暇なとき、何か漫画でも読みたくなったあなたの参考になれば幸いです。
◆最新漫画(既刊5巻以下)
『うちの師匠はしっぽがない / TNSK』
山里から街へ降りた化け狸・まめだは偶然落語を目にし一目で心酔。師匠の狐・文狐師匠のもと修業に励む。
とにかくまめだが可愛くて、ほんのり文狐との百合要素もあり、読むのが楽しい作品。鬼滅で流行った大正時代設定も素敵。
『往生際の意味を知れ! / 米代恭』
『あげくの果てのカノン』で有名になった米代恭先生の新作。元カノを忘れられない市松海路の前に数年ぶりにその元カノ・日下部日和からとんでもない提案をされて……
とにかく”情”が強い。そして”性”が強い。エモいで溢れていて実に今後が楽しみな作品。
『紛争でしたら八田まで / 田素弘』
紛争地帯を練り歩く地政学アナリスト・八田百合が、知性を持って紛争を解決する。
個人的にはBLACKLAGOONの再来とまで思えるリアリティ溢れる社会情勢反映作品。アクションシーンも多々あり、見応えがあります。
◆人気急上昇中
『SHIORI EXPERIENCE ジミなわたしとヘンなおじさん / 長田悠幸・町田一八』
地味な高校教師・本田紫織のもとに現れたのはあのジミ・ヘンドリックス!? 生徒たちとバンドを組んで、目指すは”伝説”……
サウンドが聞こえてくるような気迫と、バンドに賭ける若者たちの熱い青春。カート・コバーンやジャニス・ジョプリンなど27clubも多数現れ、最新刊では”アニメ化不可能”とまで言われるシーンも。今最も熱い音楽漫画。
地下深く広がる大穴”アビス”の最深点を目指し、リコとレグの冒険が始まる。
不穏な画調・ストーリー、グロテスクな描写は見るものを虜にする。アニメ映画が話題にもなり(Amazon primeで配信中!)今最も話題のダークファンタジー。
悪魔に安全を脅かされる世界で、チェンソーの悪魔と契約したデンジは、デビルハンターとしてマキマに従い悪魔を倒していく。
最新話が更新される度に横槍メンゴを初めTwitterのオタクが死ぬことで有名。マジでどうなるんだろうな今後、怖い……。
◆最推し
『子供はわかってあげない / 田島列島』
高校2年生の水泳部員サクタさんは、ひょんなことから出会った書道部員もじ君とともに離婚して離れた自身の父親を探す旅に出る。
『水は海に向かって流れる』が話題になった田島列島先生のデビュー作品。上下巻という短さの中に青春がこれでもかとつまっている。とにかく甘酸っぱい。来年実写映画化されるらしいです。
『有害無罪玩具&偽史山人伝 / 詩野うら』
インターネット上に漫画を公開していた詩野うら先生の傑作短編集。表題作『有害無罪玩具』は、倫理や道徳の観点から発売が中止された玩具を並べる博物館を巡る少女と博物館員の話。
月ノ美兎委員長がおすすめしたことでも話題になった本作品。各話とも非常に文学的で社会風刺の色が強く、考えることが多い作品。
『ガチ恋粘着獣 ~ネット配信者の彼女になりたくて~ / 星来』
ネット配信者グループのメンバー・スバルに”ガチ恋”している織姫は、ある出来事を機にスバルと接触する。そこから泥沼のような恋愛に堕ちていき……
昨今のネット配信ブームを強烈に反映させた作品。とにかくみんな狂っているので楽しくなってしまう。こっちまで心が壊れそうになる。
◆その他
木多康昭先生の代表的な作品。主人公・佐藤十兵衛があらゆる戦略を尽くして強者どもをなぎ倒していく。格闘漫画の有名作。
『レッド / 山本直樹』
日本犯罪史の中でも屈指の凶悪さを誇るテロリストである連合赤軍。安田講堂からあさま山荘事件まで、当時の学生運動の様子を克明に描いた作品。一見の価値あり。
『大蜘蛛ちゃんフラッシュ・バック / 植芝理一』
主人公・鈴木実はふとしたきっかけで若い頃の母・綾(旧姓・大蜘蛛)の姿がフラッシュバックするようになり、やがてその母に恋するようになる。
禁断の母子ものを商業誌で完結までやり遂げる快挙。植芝理一先生の前作『謎の彼女X』のオマージュもあり、遊び心の多い作品。
今年もたくさん読んだなあ。読めば読むだけ幸せになれる。漫画はいい文化。来年もたくさん読んでくぞ。