ちょっと長めのツイート

お気持ちを配信しています

縮んでいく偶像との距離

 

◆お前の全てを売っていけ! お前がコンテンツになるんだよ!!!

 

◆インターネットでの顔出し・名前出しに若者の抵抗がなくなって久しい。かく言う私も、本名で検索されると顔も名前も出てくるガバガバ仕様。本当は嫌だったけれど出さざるをえなかったところがあったので……。

    万単位のフォロワーを抱えるインフルエンサーは、マーケティングに欠かせない存在らしく。1ツイートがウン十万の稼ぎになることもあるとかで、お前は8年間何をツイートしていたんだという気持ち。

    人は十人単位の諭吉に弱いので、こうしたことが話題になると口々に「ずるい、ずるい」と叫ぶのである。もれなく私もである。しかし一方で、そうなりたいかと言われると、まあなりたいけれど、尻込みするところもある。

 

◆スパチャ機能で稼ぐツールはYouTubeに留まらない。あまり詳しく知らないけど、アイドルの方がよく使ってる印象のSHOWROOM? やイチナナ? だっけか。liverとして生活や思想を配信することで、面白ければファンが付き、投げ銭が飛んでくる。

    あるいはブログのようなアフィリエイトによる稼ぎ方も一昔前から流行っている。インターネット全盛の今、お金は思った以上に電子的に世を巡っている。誰か私の口座に突然5000兆円振り込んでくれねえかなあ~~~(当ブログは全く持って無銭です)。

 

◆当然のことではあるが、ただ配信するだけでオールオッケーなわけではない。投げ銭をもらうには「ファン」が必要だ。昨日まで街に溶け込むモブキャラだった人が「ファン」を獲得するには、相応の努力や才能が必要になる。

    その努力がどれだけ難しいか? HIKAKINさんがいい例だ。毎日自分を写した実写動画を自分で編集し、アップロードするなど、冷静に考えたら狂気の沙汰としか思えない。

    VTuberなどはさらに大変だ。本職の合間を縫って生配信したり、空いた時間もTwitterエゴサしていいねを飛ばしたり。人によって活動頻度はまちまちと言えど、中には「いつ寝てるんだ」と心配になる人さえいる。

 

◆「ファン」にとって投げ銭をしたくなるような相手---言うなれば「アイドル」だろうか---との距離は、インターネットの登場によりあまりに近くなりすぎた。どれだけプライベートの時間を仕事に割いても、「ファン」の前では絶対的な偶像であり続けた80年代のアイドル。しかし、ももクロやAKBグループの登場によりその存在は手を握れるほどに近くなり、そして今は、時間を問わずリプライを送れるほど、身近な存在になった。

    どうだ、いっちょliverになって一旗揚げてやろうかと思ってる人たち。おはようからおやすみまで、四六時中「ファン」のことを考え続ける存在になる覚悟が、はたして持てるか? 私には、その覚悟は持てない。

 

◆これだけ偶像との距離や接し方が大きく変わってきたというのに、恋愛忌避の風潮だけがいまだに残り続けているのもおもしろい。アイドルにとって、恋愛というのは最後の「プライベート」なのかもしれない(カップルユーチューバーなどもいるが)。

    お前の全てを売り飛ばせ。一挙手一投足をコンテンツたらしめろ。liverたちを日々悩ませるそれは、この世で最もハードな「お仕事」なのかもしれない。