21歳になった。一日一日は楽しいような楽しくないような、そんな日もあればこんな日もあるというような一年だった。回りくどく言ったがようはこれまでの20年となんら変わらない日々だったわけで、唯一違うのは、この一年だけはずっと彼を考え続けて生きてきたことだ。
去年の誕生日の二日前、僕はティーンを失うことにどうにも怯えながら二十歳になるのを待っていたらしい。
しかし何ということなくそのときを迎え、ダイアログインザダークを楽しみ後輩たちから素敵なプレゼントまでもらって、僕は手のひら大回転で誕生日を楽しんでいた。
ぷるーぶ on Twitter: "おしゃけ〜〜〜〜〜〜♡♡♡♡♡ というツイートは憧れにとどめます いい後輩を持ったもので素敵なプレゼントをいただきました あんまり吸わないように努力します… "
深夜テンションでポエ散らかした(ポエムを吐き散らした)だけで、俺のことだしなんだかんだ今年もゆるゆる生きていくんだろうなとたかをくくっていた。そのわすが数日後だった。
この一年間、誇張でなく本当に、毎晩寝る前になると彼のことを考えた。かといって深追いするわけではなく、ただふっと、どこを探しても彼はいないんだ、そう思うだけ。辛くて眠れないとか、取るものも手につかなくなるとかそんなことは一切なかったけど、常に頭の隅にその事実が居座り続けて離れなかった。
六月のある日。スマホをいじっていたらボイスメモに覚えのないデータが残っていた。再生してみるとシェイキーズメンバーが話をしていて、約一年ぶりに彼の声を聴いた。さすがシェイキーズと言わんばかりに、本当に本当に本当にくだらない話をしていた。そのときの情景をようやく思い出し、懐かしさ以上の何かで苦しくなって、手をつけていた勉強はその日何もできなかった。どうしてこんな会話を録音したのか当時の俺の気が知れないが、思ったより近くに彼はいた。
だんだんと時がたって、近頃は友達との会話の端々に彼の名前が出るようになった。友人たちにどのような心境の変化があったのか、それは人それぞれだと思うが、僕の中にあった「タブー視するような感覚」は徐々に氷解していった。たとえ少しずつでも、彼の名前がぽつぽつと浮かびあがってくることが本当に嬉しかった。本当に嬉しかった。彼の名前を出して話したいことがあまりにも多かったから。
こうやって日々徒然を書き残そうと思ったのも、その人となり姿なりをたくさんの人の記憶に残した彼に憧れたからだ。僕のくだらない書き置きが誰かの記憶に残るかはわからないけど、とりあえずはこれからもちまちま書いていこうと思う。今のところの記事一位が「制服脱がす」なのもなかなか悲しいけれど。
本当にいろんなことを思いながら、あっというまに一年が経った。八月が来れば僕は歳をとり、彼もまた誕生日を迎える。太陽はさんさんでアホみたいに暑いし、汗はベタついてバカみたいに鬱陶しい。何をするにもやる気を削がれる、食はいっそう細くなる。それでも夏が好きだ。八月になっただけで楽しくなれる。夏生まれはみんなそんなもんだと勝手に思ってる。
また夏が来たと、彼に伝えないといけない。彼のことだからきっと土産話を欲しがるだろう。大黒摩季を知ってるか、夏は来たけど夏が来ねえんだよ。次までには浮いた話を用意しないと、何より退屈を嫌った彼に会わせる顔がない。そんなことを思う8月6日である。