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都会の片隅の片隅で

 

 

    渋谷駅から少し離れたところ、東急百貨店本店のもとで輝くクリスマスツリーを横目に少し行くと、雑居ビルの2階にガストがある。入口から離れた奥の方に10席ほどの喫煙席が置かれていて、まさに渋谷の隅の隅といった感じであった。試写会まで時間があったのでここで休憩を取ることにした。

 

 

    ガストでは決まってピザを頼む。メニューも見ずに注文を伝えて煙草をふかしていると、喫煙室にしてはお客さんがたくさんいることに気づく。

    通路を挟んだ向かいには若い女性の2人組。2人して縦セタワンピで、惜しげも無く綺麗な御御足を見せつけてくる。心もとないほどの丈でありながら足を組む赤い縦セタワンピの女性は、いかにも渋谷を象徴するようなイカした女性であった。細身の煙草もまた自身を彩るアクセと理解してるかのようで非常に似合っている。

    その隣に座るのはスーツのおじさん。ラップトップを相手ににらめっこしている。割腹の良さから昔運動をしていたことを思わせるが、しかし吸っている煙草は縦セタワンピと同じスリムなもの。そろそろ健康が気になってくるのだろうか。

    私の左隣に座るのは男女のペア。大学生の女性と30代ほどの男性という感じ。演劇について熱く語り合っていた。どちらかというと女性が自分の方向性について男性に相談しているような風にも思えた。男性はマルボロメンソを吸いながら熱心に応え返していた。熱く語り合えるものがある。ああいった関係には憧れも覚える。

 

 

    都会の片隅の片隅には多様な思惑が煙とともに飛び交っていた。窓の外を見ると先ほど通り過ぎたクリスマスツリーが煌々と輝いていて、年の終わりをひしひしと感じる。綺麗だな、今年も1人だな、年末何しようかななどと雑念を巡らせているうちにいつのまにかピザもなくなり時間が来ていた。スマホを見ると公式アプリから会計10%オフクーポンのクリスマスプレゼントが届いている。有難く恩恵を受け、ゆったりと試写会に向かった。

 

 

※2016年12月20日のnoteを加筆修正